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2026年10月15日

「第14回日本くすりと糖尿病学会学術集会」2026年9月5日~6日開催

2026年9月5日、広島国際会議場第2会場「ヒマワリ」にて、「日本くすりと糖尿病学会」と「CDEJ認定機構」共同企画によるシンポジウムを開催しました。

(写真左、上から下/敬称略)
座長:工藤 浩史(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 薬剤部)CDEJ
   辻本 勉(武庫川女子大学 薬学部)CDEJ
演者:久保田 亜希(名古屋大学医学部附属病院 薬剤部 )CDEJ
(写真右、上から下/敬称略)
演者:四方 賢一(CDEJ認定機構理事長/岡山大学名誉教授・特命教授)
   大泉 博文(厚生労働省医政局 総務課)
   大坂 愛美(株式会社akホールディングス 上永谷薬局)

シンポジウムテーマ

「PBPMからタスクシフト/シェアへ、有資格者を活かした日本の糖尿病診療の将来を考えよう」

内容

座長(オーガナイザー)工藤 浩史

 本シンポジウムでは、「PBPMからタスクシフト/シェアへ」を切り口に、薬剤師をはじめとする有資格者の専門性を活かした日本の糖尿病診療の将来像を考察する。医師の働き方改革が進む中、糖尿病診療においては、薬物療法の高度化・長期化に対応するため、多職種が連携し診療プロセスを分担・共有する体制構築が不可欠である。PBPM は、薬剤師が薬物療法の質と安全性を担保しつつ診療に参画する枠組みとして発展してきたが、今後は外来・入院・地域連携の各場面において、薬剤師がプロトコールに基づき主体的に関与するタスクシェア型診療への展開が期待される。本企画では、制度的背景やエビデンスを整理するとともに、CDEJ や糖尿病薬物療法認定薬剤師との協働も含めた実践例を踏まえ、またトータライザ―を用いて聴講者の現状や考えを相互に確認しながら、薬剤師が担うべき役割と持続可能な糖尿病診療体制の方向性を議論する。

久保田 亜希 
「2040年を見据えた糖尿病診療に携わる薬剤師の育成」

 厚生労働省の試算では、2040年頃に65歳以上人口がピークを迎えるとされている。生産年齢人口の減少により就業人口割合が低下する一方で、医療需要は増加すると予測されており、在宅医療を含む地域医療体制の整備と医療・福祉分野における業務効率改善が重要な課題となっている。業務効率については、単位時間当たりのサービス提供量として、医療・福祉分野全体で5%、医師では7%の改善を目標とする前提が示されている。これらを達成するためには、タスクシフト/シェアの推進が不可欠であり、糖尿病診療に参画する薬剤師においても、役割の明確化が求められる。CDEJ は、個々の患者の生活背景を理解・評価し、医師の治療方針を適切に患者へ伝えるとともに、患者の自己管理を支援する生活指導および患者教育のエキスパートであり、その能力は認定資格制度により担保されている。一方、糖尿病薬物療法認定薬剤師は、糖尿病治療に加えて併存疾患を有する症例に対しても、処方提案および薬物療法への介入を行える専門性が求められており、これらは認定審査の評価対象とされている。認定制度の成り立ちが異なることから、タスクシフト/シェアの中で求められる役割はそれぞれ異なるが、今後の就業人口減少を見据えた観点では、いずれか一方に特化するのではなく、CDEJ と糖尿病薬物療法認定薬剤師の両者を並行して育成していくことが最適であると考えられる。
 本シンポジウムでは、2040年に地域格差のない糖尿病診療に携われる薬剤師の育成を目的として、CDEJおよび糖尿病薬物療法認定薬剤師がそれぞれ目指すべき役割と今後の在り方について、学会加者の皆様とともに議論を深めたい。

四方 賢一
「新たな時代の糖尿病医療における薬剤師への期待」

 糖尿病治療には、多職種によるチーム医療が重要であることがよく知られており、近年の臨床研究により、その有効性のエビデンスが集積されてきた。最近の薬物療法の進歩や医療者の働き方改革に伴って、糖尿病診療における多職種連携とタスクシェアの重要性がさらに増している。日本糖尿病療養指導士(CDEJ)認定機構は、質の保証された療養指導を行うメディカルスタッフを育成することを目標として2002年に設立され、現在CDEJの認定者は全国で約1万6千人に達している。高度かつ良質な糖尿病医療を提供するためには、CDEJおよび糖尿病薬物療法認定薬剤師をはじめとするエキスパートの存在が重要である。さらに、本シンポジウムのテーマであるタスクシェア型診療においては、単なる業務分担を超え、チーム内での確かな見識と有機的な連携が求められる。一方で、最近の医療環境の変化や高齢化の進行により、CDEJの活躍の場は従来の専門施設やクリニックにとどまらず、地域包括ケア、在宅医療、介護の領域などに広がっている。本シンポジウムでは、CDEJのこれまでの歴史を振り返るとともに、時代の変化に対応したCDEJの新たな活動のあり方や、患者さんの立場に立った糖尿病診療体制を構築するための薬剤師CDEJへの期待について議論したい。

大泉 博文
「タスク・シフト/シェアに関連したこれまでの検討と今後の展望」

 演者が所属する厚生労働省医政局の所掌事務は、近年の高齢化や、疾病構造の変化、医療の質を求める国民の声の高まりなどに応え、良質で効率的な医療提供体制の実現に向けた政策の企画立案を行うことである。 これまで、病院薬剤師のあるべき業務と役割を検討したうえで、人員配置のあり方についての報告書のとりまとめ(平成19年)や、良質な医療を継続的に提供していくために医療機関の実情に応じて関係職種間で適切に役割分担を図りつつ効率的な業務運営のため、医師でなくても対応可能な業務等について整理した通知「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日付け医政局長通知)の発出、高度化する医療に対応するため薬剤師が主体的に薬物療法に参加することを求めた通知である「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について(平成22年4月30日付け医政局長通知)」の発出などを行ってきた。 本公演では、「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」(令和3年9月30日付け医政発0930第16号厚生労働省医政局長通知)を始めとして、タスク・シフト/シェアに関連したこれまでの施策の整理や、どのような業務を行うことが可能であるかプロトコールに基づいた薬物治療管理(PBPM:Protocol Based Pharmacotherapy Management)を含めた概説を行う。また、タスク・シフト/シェアは必ずしもすべての病院で進んでいるわけではないため、推進するにあたっての現状の課題等を踏まえ、今後の展望等についても提供したい。

大坂 愛美
「在宅医療における薬剤師の介入価値~高齢者施設への往診同行を通した多職種連携~」

 保険薬局において多職種連携はトレーシングレポートや疑義照会が主であり、医師や看護師などの多職種とリアルタイムに患者の状態を共有し、処方提案を行う機会は限定的である。窓口にてお薬をお渡ししていると、処方意図が理解しきれないことや、内服自体できているのかも把握できないままのこともあり服薬指導に困った経験もある。在宅医療において「往診同行」を通じた薬剤師の介入価値を再考し、皆様と議論を深めたい。往診同行では医師や看護師、介護士などの職種と密に連携をとり、患者本人の生活のリアルや胸に秘めていた要望や問題点を発見することが出来る[ 愛加1.1]。また、医師の処方意図の共有を行うこと、看護師の療養上で困っていることの確認をとることができ、その場で処方提案や処方の適正化が可能となるため患者一人一人に適した薬物療法の実現ができると感じている。[ ゲユ2.1][ 愛加2.2]特に糖尿病領域において、往診医が必ずしも専門医でない場合、高齢患者への厳格すぎる血糖管理による低血糖リスクが懸念される場面も見受けられる。薬剤師が同行し、生活背景に基づいた適切な血糖管理目標の共有を行うことで低血糖回避や内服アドヒアランスの向上に寄与できた実例を提示し、皆様と議論を深めたい。